みなさん、副業の報酬を見て「時給にするといくらだろう」と考えたことはありますか。正直に言うと、副業の単価は作業時間だけで割ると高く見えがちです。この記事では、まず月給を時給に換算する計算式を確認します。そのうえで、経費と作業以外の時間まで含めた副業の実質時給の出し方を整理します。金額はすべて、税金や社会保険料を引く前の額面で扱います。

月給を時給に換算する前にやること:本業の条件をそろえる

比較の土台になるのは、本業の月給の時間単価です。厚生労働省神奈川労働局の資料「割増賃金の計算方法」では、月給制の1時間当たりの賃金を次の式で求めると説明しています。

  • 1か月の平均所定労働時間=年間所定労働日数×1日の所定労働時間÷12
  • 月給の時間単価=月給÷1か月の平均所定労働時間

年間休日数がわかっていれば、年間所定労働日数は「365日-年間休日数」で出せます。1日の所定労働時間に休憩時間は含めません。まず就業規則や雇用契約書を開き、年間休日数と1日の所定労働時間を書き出しておきましょう。

もうひとつ見落としやすいのが、月給に何を含めるかです。残業代の計算に使う時間単価では、基本給以外の賃金も原則として含めます。そのうえで、家族手当や通勤手当など、法令で除外できる手当が決まっています。ただし、手当の名前だけで除外できるとは限りません。手当の扱いは、意外と沼る。

💡副業と比べるために自分で計算するだけなら、「基本給のみ」と「手当込み」のどちらで出したかをメモしておきましょう。あとで比べるときに数字がブレません。

副業の時給を出す前にやること:経費と時間を記録する

副業のほうは、報酬額をそのまま時間で割るだけでは足りません。国税庁のタックスアンサー「雑所得」では、業務に係る雑所得を「総収入金額-必要経費」で計算すると説明しています。実質時給もこの考え方に合わせ、収入から経費を引いた金額で計算します。

青い皿に並べた白い小石と黄色のマグカップで、ひと月の日数を表したイメージ

時間の記録を実作業だけにしないのがポイントです。受注前の打ち合わせ、メッセージのやり取り、移動、納品対応、請求書づくりなど、案件のために実際に使った時間をすべて残します。地味だけど、ここを省くと数字が甘くなると僕は思う。

  1. 契約内容やメッセージを見返して、報酬額と支払条件を確認する
  2. ツール代や交通費など、その案件のために使った経費を記録する
  3. 実作業・連絡・移動・請求の時間を、項目ごとに分けて記録する

💡移動時間や機材費、学習時間をどこまで含めるかについて、実質時給を出すための一律の基準は公表資料では示されていません。自分でルールを決め、毎月同じ基準で記録するのが現実的です。

請求書に書く項目を先に決めておくと、請求作業に使う時間を読みやすくなります。項目の確認には請求書テンプレートを選ぶ前に確認したいインボイス必須項目と源泉徴収額の埋め方を参考にしてください。

副業と比べる前にやること:月給と副業の時給を計算する

本業:月給の時間単価

神奈川労働局の資料にある例で計算します。条件は、年間休日125日、1日の所定労働時間8時間、月給24万円です。

月給24万円の時間単価(資料の計算例)
項目 計算 結果
年間所定労働日数 365日-125日 240日
1か月の平均所定労働時間 年間所定労働日数×8時間÷12 160時間
月給の時間単価 24万円÷平均所定労働時間 1,500円

副業:売上ベースの時給と実質時給(仮の数字)

次は副業です。ここからの数字は計算の流れを見るための仮の例で、実際の案件のデータではありません。月の報酬が3万円、経費が2,400円、実作業が16時間、打ち合わせ・連絡・請求などが8時間だったとします。この場合、総時間は24時間、経費を引いた金額は27,600円です。

仮の副業案件で見る時給の違い(月額・税引前)
見方 計算 結果
実作業だけで割った時給 報酬÷実作業時間 1,875円
売上ベースの時給 報酬÷総時間 1,250円
実質時給 (報酬-経費)÷総時間 1,150円

正直に言うと、僕はここがいちばん大事なところだと思います。実作業だけで割ると、本業の1,500円を上回って見えます。ところが、連絡や請求の時間と経費を入れると下回ります。この差を数字でつかむことが、副業のコスパを判断する第一歩です。

比べる目安として、最低賃金の数字もあります。厚生労働省が2026年9月3日に公表した令和8年度地域別最低賃金額の答申では、全国加重平均額は1,177円です。ただし、答申額は2026年10月1日から12月2日までの間に順次発効する予定です。お住まいの地域ですでに発効している額とは分けて見てください。また、最低賃金は雇用契約で働く人に適用されるもので、業務委託を含むすべての副業に一律に当てはまる基準ではありません。自分の時間の価値を考えるための参考値として使いましょう。

ここで出した数字は、すべて税引前です。税金や社会保険料を引いた後の実質時給は、所得の区分や控除、ほかの所得などで変わるため、この式だけでは確定できません。税金を含めた全体像は副業を始める前に確認したい手取り・経費・税金・契約の基本で整理しています。

次の案件を受ける前にやること:契約と働き方を確認する

実質時給が低く出たら、報酬単価だけを見るのではなく、時間が膨らむ原因を契約内容から探しましょう。修正の回数、連絡の頻度、支払条件などを見直すと、次の案件で交渉すべき点が見えてきます。

窓辺の机に砂時計と白いマグカップを置き、働いた時間の価値を考える時給計算の演出イメージ

副業が雇用契約かどうかも確認しておきましょう。別の会社との雇用契約で副業をする場合、本業と副業の労働時間を通算して管理する制度があります。厚生労働省の「副業・兼業」のページでは、労働者の申告にもとづいて副業の内容を確認する方法や、労働時間の通算に関する解説資料を案内しています。雇用で副業をしている場合は、勤務先に副業の内容をどう伝えるか、社内のルールを確認しておきましょう。

計算を始める前にやること:チェックリスト

最後に、今日から手を動かせる形でまとめます。

  • ✅就業規則や雇用契約書で、年間休日数と1日の所定労働時間を確認する
  • ✅「基本給のみ」か「手当込み」かを決めて、月給の時間単価を計算する
  • ✅副業の経費を、案件ごとに記録する
  • ✅実作業・連絡・移動・請求の時間を、分けて記録する
  • ✅売上ベースの時給と実質時給を並べ、本業の時間単価と比べる