平日は22時から1〜2時間、僕はライティングやECサイト運営の副業に時間を使っています。限られた時間で仕事をすると、15分は案外大きい区切りです。だからこそ「時給を15分単位で計算する」という言葉を見ると、その区切りからはみ出した時間が気になります。

15分働いた分はいくらになるのか。それとも、15分に満たない時間は報酬に入らないのか。同じ言葉でも、この二つでは意味が違います。ここでは、雇用されて時給で働く場合の賃金を軸に、計算と記録の見方を整理します。

15分分の金額を出す前にやること:分と時間をそろえる

実働時間に対する基本の計算式は、時給×実働時間(分)÷60です。15分を時間に直すと0.25時間。時給に15を掛けるだけではなく、60で割って単位をそろえます。

ここからの数字は、僕の実際の収入ではなく、計算を見やすくするための仮の例です。時給1,200円で、割増のない通常の労働時間を計算します。

時給1,200円で働いた場合の計算
実働時間 計算式 賃金額
15分 1,200×15÷60 300円
60分 1,200×60÷60 1,200円
67分 1,200×67÷60 1,340円

67分を60分として計算すると、差は140円です。これは税金などを引く前の賃金の比較で、振込額や手取り額ではありません。15分ごとの金額が分かっても、残った分の扱いは別に確認する必要があります。

端数を丸める前にやること:日ごとの切り捨てを見分ける

厚生労働省の「労働時間を適正に把握し正しく賃金を支払いましょう」では、1日ごとに一定時間未満を一律に切り捨て、その分の賃金を支払わない扱いは労働基準法違反と説明しています。1日の残業を15分未満で切り捨てる例も挙げられています。

つまり、通常の実働時間は1分単位で扱い、「15分単位だから」という理由で毎日の端数を消すことはできません。先ほどの67分がすべて労働時間なら、60分だけを賃金計算に入れる扱いには問題があります。

労働者に有利な切り上げは可能です。ただし、賃金計算上の切り上げと、実際の始業・終業時刻の記録は分けて考えます。切り上げた時間だけを見ていると、実際に何分働いたかを後から照合しにくくなるためです。

また、労働時間は使用者の指揮命令下にある時間です。義務づけられた着替えや、業務上必要な準備・後片付けも、条件に当てはまれば含まれます。「作業を始めた時刻」だけでなく、その前後に何をしていたかも確認の対象になります。

月の合計を確認する前にやること:例外の範囲を区切る

端数処理には、月単位で認められる例外があります。対象は1か月の時間外・休日・深夜労働それぞれの合計時間です。1時間未満の端数を、30分未満なら切り捨て、30分以上なら1時間に切り上げる方法が認められています。

厚生労働省の「時間外・休日労働と割増賃金」でも、この扱いを説明しています。月間の対象時間を集計してから行う処理であり、毎日の通常労働時間を15分ずつ丸めるための例外ではありません。

給与の説明で「端数処理をしています」と言われたら、僕なら、何の時間を、どの期間で合計しているかを確認します。「日ごとか、月ごとか」「通常の労働時間か、時間外などの時間か」を分けるだけでも、質問が具体的になります。

自分の時間を評価する前にやること:採算と賃金を分ける

僕が副業の価値を考えるときは、報酬の額だけでなく、経費と使った時間を並べたいと思っています。一方で、雇用の給与を確認する場面では、まず実際の労働時間に対する賃金がどう計算されたかを見る。この二つの確認を混ぜないようにしたいところです。

たとえば、先ほどの67分という数字でも、自分の採算を振り返るための作業メモなのか、給与の基礎になる労働時間なのかで、見る書類が変わります。今回の切り捨ての説明は、雇用の賃金計算についての話です。

副業の収入から経費と投入時間を整理したい場合は、案件タイプごとに時給計算ツールへ入力する項目も参考になります。僕なら、給与の照合を終えてから、仕事に使ったリソースを別の表で振り返ります。

給与について尋ねる前にやること:記録と明細を並べる

みなさんが自分の給与を確認するなら、次の順に数字を拾うと、どこで差が出たかを整理しやすくなります。

勤怠記録と給与明細を並べて照合するイメージ
  1. タイムカードやICカード、パソコンの使用記録を集め、実際の始業・終業時刻と照合します。
  2. 休憩と仕事の時間を区別し、必要な準備・後片付けが労働時間から抜けていないか確認します。
  3. 日ごとの実働時間を分で書き出し、通常の労働時間と、時間外・休日・深夜労働を分けます。
  4. 給与明細の時間数・金額と比較し、差があれば給与担当者に賃金台帳上の時間数と計算方法を尋ねます。

厚生労働省の労働時間の適正な把握に関するガイドラインでは、使用者による日ごとの始業・終業時刻の確認・記録と、原則として客観的な記録を基礎にすることを示しています。自分のメモにも作業内容を添えておくと、時刻の差について説明する材料になります。

時給そのものを確かめるなら、厚生労働省の最低賃金の比較方法に沿って、勤務先の都道府県に適用される時間額と比べます。具体額は地域別最低賃金の全国一覧で、金額と発効日をセットで確認できます。

「15分単位」と書いてあるだけで判断を終えず、まずは気になる日の記録を一緒に並べてみましょう。何分が、どの計算に入っているか。そこまで分かれば、給与担当者に聞きたいことも言葉にしやすくなります。