18.3%。厚生年金保険料の率です。日本年金機構の説明では、平成29年9月分以降この率は固定されています。額面の年収が増えても減っても、かかる率そのものは動かない。これが現実です。

みなさんの給与明細にも、税金と社会保険料の行が並んでいると思います。額面年収と手取りの差は、要するにその行の合計です。ここでは、額面から何が、どんな率で引かれるのかを順番に追いかけます。

手取りを出す前にやること:額面年収の中身を二つに分ける

最初にやるのは、明細の控除欄を「社会保険料」と「税金」の二つに分けて書き出すことです。この二つは金額の決まり方がまったく違います。社会保険料は決められた率を報酬にかけて出す仕組み、税金は先に控除を引いて課税所得を出してから税率をかける仕組みです。

僕は副業の収支を月に一度まとめているので、本業の明細も同じノートの隣のページに書き写しています。額面年収だけを眺めていた頃より、どの行が重いのかがはっきりしました。正直、最初に書き写したときは厚生年金の行の大きさに手が止まりました。

率をかける前にやること:社会保険料の三つの率を並べる

健康保険料率は都道府県ごとに違います。全国健康保険協会の説明では、令和7年度の東京都は9.91%で、令和6年度の9.98%から引き下げられました。40歳から64歳までが対象の介護保険料率は全国一律1.59%です。どちらも令和7年3月分(4月納付分)から適用されます。この料率は年度ごとに改定されるので、自分の明細と照らし合わせるときは、その年度の数字を協会けんぽのページで確認するようにしています。

これに厚生年金の18.3%を足すと29.8%。ただし、この率をそのまま額面年収にかけた数字が明細の控除額と一致するわけではありません。✅ 健康保険・介護保険・厚生年金の行は、合計せずに一行ずつ確認する。僕はそうしています。

税率を当てはめる前にやること:控除を引いて課税所得を出す

税金の側は、額面年収から控除を引いた後の金額が出発点になります。国税庁の説明では、令和7年分以後、給与所得控除の最低保障額が55万円から65万円に引き上げられました(令和7年12月1日施行)。基礎控除も合計所得金額に応じて見直され、たとえば合計所得132万円以下では48万円から95万円になっています。一部の区分は、令和9年分以後に58万円へ統一される予定です。

ここからは、僕が仮に置いた数字で進めます。控除を引いた後の課税所得が300万円だったとしましょう。

所得税と住民税を足す前にやること:計算式を分けて持つ

所得税は課税所得に応じた5%から45%までの7段階で、速算表を使い「税率×課税所得−控除額」で出します。195万円超330万円以下の区分は税率10%、控除額97,500円です。住民税の所得割は標準で10%(道府県民税4%+市町村民税6%、政令指定都市は道府県民税2%+市民税8%)、均等割は標準4,000円(道府県民税1,000円+市町村民税3,000円)です。

課税所得300万円と置いた場合の年間の税額
項目 計算式 年額
所得税 300万円×10%−97,500円 202,500円
住民税(所得割+均等割) 300万円×10%+4,000円 304,000円
合計 所得税+住民税 506,500円

税だけで年額およそ506,500円。ここに社会保険料が重なった残りが、手取りとして口座に入る金額です。💡 賞与がある年は、月額の控除を12倍しただけの数字と年額がずれます。

来月の明細を開く前にやること:年額と月額を突き合わせる

計算式が手元にそろったら、あとは自分の数字を入れていきます。月額の控除を12倍した額と、年額で見た税・保険料を並べると、ずれている行が見つかります。40歳になる年は介護保険料率の分が加わるので、そこも一度見ておきたいところです。

副業があるなら、本業の手取りと副業の入金は混ぜないほうが数字を追いやすいです。僕は副業側を月給の時間単価と副業の実質時給を比べる方法で見ていて、業務委託の報酬は源泉徴収を引いた差引振込額の出し方として別に整理しています。

僕の来月の予定はもう決まっていて、給料日の翌日の夜に、明細の控除欄をノートへ書き写します。そのあと、副業の収支と並べて妻と見る日を月末に入れておく。額面年収を眺めるより、この一時間のほうが家計には効いている気がします。